かなり前に、古本屋で見つけたビビットな一冊。
鮮やかなフューシャピンクに
エンボス加工のタイトル文字が可愛くて、
思わず手に取りました。
『Life on the Refrigerator Door』 Alice Kuipers著。
「冷蔵庫のドアの上の人生」。
パラパラと中を見れば、
タイトル通り、冷蔵庫のドアに貼り付けたメモで
コミュニケーションをとる母娘の話のよう。
・・・と言うよりも、
母娘が交わしたメモそのものが内容となっていて、
補足や説明文は一切無し。(あとがきを除く)
一文一文が短く余白も多いので、洋書でも読みやすそうです。
特に、娘が書いたメモは話し口調のような文章なので、
英語学習に役立ちそうだと思い、購入しました。
購入したことに満足してしまって、
本棚に放り込んだまま放置していたのですが、
『真田太平記』を読み終えて手持ち無沙汰になったので、
ようやくこの本を開きました。
そうしたら、どうでしょう。
ほぼジャケ買いだったので、
予想外の展開に度肝を抜かれ、最後は涙涙で文字が見えなくなる顛末に・・・。
日常的なショッピングリストで始まったメモは、
彼氏との関係を母親に相談するメモや、親子喧嘩の辛辣なメモなどを経て、
胸に迫る手紙へと変化していきます。
ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、
登場人物の親子の年齢設定が自分と近いだけに、
国と言語が違っても他人事とは思われずに、
涙無しには読めませんでした。
多分、高校1年生程度の英語力があれば読むことが出来る内容なので、
翻訳本ではなく、原語で読むのが良いと思われます。
日本語の美しさを完全には英訳することが出来ないのと同様に、
例えば作中に出てきた「I couldn't have a more fabulous daughter.」という一文を
日本語訳にしてしまうと、読んでいるこちらが赤面してしまうような安っぽい内容に
成り果ててしまうでしょう。
本棚にお気に入りの一冊が増えました。