2017年12月13日水曜日

『ピアニストという蛮族がいる』



『ピアニストという蛮族がいる』
  中村紘子 著
  出版社:文藝春秋
  言語:日本語
  278ページ



ピアノの先生からお借りした一冊。
日本を代表するピアニスト、中村紘子さんの著書です。

世界各国のアクの強いピアニストたちの姿を、
ユーモラスに、そして真摯に描いた作品です。
有名なピアニストから、今は世の中から忘れ去られているピアニストまで、
何人もの芸術家の人となりや半生が紹介されていて、
とても面白い一冊でした。



中村紘子の著書を読んだのは、これが初めてです。

私が幼少期に教わっていたピアノの先生は中村紘子のことが大嫌いで、
いつも眉を吊り上げて悪口を言い連ねていました。
それなのに、中村紘子のコンサートには足繁く通っていたみたいで・・・
文字通り、「愛憎劇」といった感じでしょうか。

幼いころに中村紘子の悪口を聞かされていたこともあって、
私の中では決して印象の良いピアニストではなかったのですが、
本作を読んでガラリとその印象が変わりました。

一言で言うなら、「面白い!」。
そして明朗な文章に、中村氏の多彩さを感じました。
才能が豊かな方って、幾つも賜物をお持ちなんですね。


ピアニストのことを「蛮族」と表現してしまっている通り、
作中には「これでもか」と言うほど、
実在したピアニストたちの奇人変人ぶりが紹介されています。
と同時に、
偉人たちの強烈な個性への、中村氏の深い尊敬や愛情も感じました。

そして読んでいる私も一緒に、
ピアノや音楽を楽しむことの喜びを、味わえたように思います。

読後のピアノの練習は、いつも以上に熱が増しました。