2018年6月25日月曜日

大正浪漫へ






昔から残る細い道を通り抜け、角を曲がると、
思いがけず姿を現す大正浪漫。

長野県須坂市にある「須坂市旧上高井郡役所」です。


須坂は古い商店や蔵が残る古風な町ですが、
この旧上高井郡役所の周辺には近代的な住宅も多くあります。

平成の中に凜と建つ大正建築物は、
まるで孤高の老紳士のような佇まいです。





堂々たる切妻破風に、
どっしりと構えた車寄せ。





現在は、多目的ホールとして市民に開放されています。


訪れた日はとても暑かったからでしょう、
正面玄関の扉は、まるで大正時代に誘うかのように
開け放たれていました。





白い漆喰の壁に映える、
天井と建具の涼やかな青竹色。





綺麗に磨き上げられた床板に、
この建物がいかに大切に愛されているかが分かります。





どの部屋にも開放的な大きな上げ下げ窓があり、
光が溢れています。





須坂市の歴史資料の他に、
蓄音機とラヂオも展示されていました。





館内に階段室は二か所。




吹き抜けにも大きな上げ下げ窓があるので、
現在ほど電気が備えられていなかった大正時代でも、
館内は明るかったのではないでしょうか。








訪れたこの日、
一階では生け花教室が、
二階ではバイオリンのコンサートがありました。

私たち一家は、コンサートを楽しみました。







もう一つの階段室。





二階の部屋の壁には、
明り取りのガラス窓がはめ込まれていました。

そこここに、明るく過ごす工夫が凝らされています。





玄関ホールの扉。

平成と大正を結ぶ、
タイムスリップの扉です。




敷地は駐車場としても利用されているため、
車が写り込んでしまうのが何とも残念ではありますが、
それでも、理想的な形で文化財が利用されていると思います。



建設から100年を経た現在もなお、
多くの人が集う 旧上高井郡役所は、
心なしか幸せそうに見えました。






建物データ
「須坂市旧上高井郡役所」
所在地:長野県須坂市大字須坂812-2
建設:大正6年(1917年)